ここ数週間、素敵な作品に触れることが多い。どれも今後の人生において、きっと忘れることがない大切な思い出になるだろう。それらのことをここに書くには、咀嚼して飲み込む時間と、そのカロリーを捻出する体力が必要だ。たまに思い出し、夢だったのかもしれないという不確かで素敵な思い出に、輪郭を与え言語化する作業は骨が折れる。
そういうことは、長めの電車移動の時に限る。または、待ち合わせまでの時間つぶしのドトールが相応しい。なら、脳みそが疲れ果てた平日の帰路には何が適しているか。美味しかった食べ物を思い出すことだ。食欲最優先の人生、美味しいものは何度思い出しても味がするからだ。晩飯への気力も湧く。
いつも行く立ち飲み屋のホッピー。安くて沢山飲んでしまう。社長がキツイ人だから不買運動をしている友人もいるが、悔しいが飲んでしまう。そういえば、サントリーの不買運動が親世代であったな。母親は味の素を終ぞ買わなかった。色々と許せない心情があるのだろう。
飲む機会は少ないが、日本酒が一番好きなお酒だ。これは茨城のお酒。日本酒の何がいいって、いつでも日本中を旅行したような気持ちになること。その土地の水と空気を濃縮しているからか旅先を思い出すのに適しているし、知らない土地に思いを馳せることも出来る。今のところ、私の中で尾瀬は極楽に最も近しい場所ということになっている。行ったことないけど。
メンチカツ!揚げ物界のレジェンド!!隣のドレッシングがスパイスが効いてて、インド屋さんの上位互換のような味がするのも好きだ!
友人の家の近くで買ったレモンケーキ。アイシングと柑橘系のコラボレーションは幸福の味。コーヒーではなく、紅茶が飲みたくなる。ずっしりとしっとりと、卵とバターがたっぷりな焼き菓子が好きだ。
友人におすすめされた、ジンを取り扱うお店。映画をモチーフにしたおつまみがあり、その映画を当てるのが楽しい。自分が映画を全く知らないことに気づく。親はよく映画を見ていたけど、自分は全く見ないもんな…。
このお店に行ったあと、最低でも月一でAmazonプライムで映画を見るようになった。本と違って視覚的に色んな世界が見えて、どれも自分の生活と地続きの空間で行われているという実感が強い。逆に言えば、誰かの妄想として処理できない、逃げ場がない感じがする。
美味しかったジン。いや、ウイスキーか?好みを伝えるとぴったりなお酒を提供して頂けるし、色んな知識も教えて貰えるので楽しい。
古い映画館を改造した場所にあり、昔の喫茶店にありそうな大きなソファもあった。若いカップルから、お酒が好きなおじさんまで。レトロでオシャレで、1人でも入りやすそうな雰囲気。家の近所に欲しいなあ。
鳥貴族。久しぶりに行ったらメニューが減ってて悲しい。でも提供は早いし、タッチパネルだから楽なのがいい。この日はたまたま関ジャニ∞がSUPER EIGHTになった日で、妙な奇跡だねってジャニオタの友人と飲んでいた。大学生から好きだった関ジャニを推すことに区切りがついた日でもある。友人たちと東京ドームでライブを見たあと、鳥貴族に熱心に並んでまで飲んだな。楽しかったなあ。
締めのとんこつラーメン。ココ最近は豚骨ブームです。博多豚骨大好き。ファミマのカップ麺も美味しい。ここは、替え玉が無料なのもよかったな。机の高菜を入れすぎて辛くなりがち。
東京の上にある居酒屋で食べた肉豆腐。身内に不幸があった人を励ますために集まり、時間の無い中食べた。隣のカップルは楽しそうに未来の話をしているのに、我々は20代で親を亡くす。60歳の子供が80歳の親を介護することすら一般的なのに、何も悪いことなんてしていないのに。親の心配をせずに笑い合う同世代との差が浮き彫りになる。しかし、私たちより早い別れを経験している人だって沢山いるのだ。
色んなことが不平等で、それを隠して一般のレールに乗っているフリをし続けないといけないのはきついよね。「いいなあ、親生きてるんだ」とは誰にも言えない。でもたまに、幸せに暮らす眩しい人を見ると、やけを起こしそうになる。叫びたいし、だだを捏ねたいし、被害者ヅラをしたい、いたわられたい。痛々しいからしないけど、それを大人になったからだとは言いたくない。
五反田に行く用事があったので、都内に住んでる人からおすすめされたおにやんまへ。五反田以外にも店舗はあるらしい。かしわ天がアツアツで美味しかった。これが立ち食いうどんのクオリティなのが、都内の怖いところ。美味しい。
入りにくい見た目をしているし、上からはしごが降りてきて店員が駆け上がっていくほどの狭い店内。それでも行列が尽きないのは、提供のスピード感と優しくて美味しい味のおかげだと思う。本当に美味しかった。また絶対いく。
五反田に行ったのでちゃんとさらば青春の光の事務所を見たり、Tシャツを投げ込んだ目黒川沿いを散歩したりした。簡単な聖地巡礼。
友人に誘われて行った。人生で屈指に美味しかった焼肉。都内の銘店として予約が中々取れないことで知られている鶯谷園だ。見てください!この霜降り肉を!!牛タンは柔らかいし、カルビは溶ける。良質な肉の脂は甘く、旅館の鉄板焼きでは楽しめない物量に脳みそが歓喜している。
これはハラミかな?食べ放題の焼肉の、肉の臭みや赤血をタレに漬け込んで霧散させたものしか食べたことがなかったので、こんなに肉の味が濃く柔らかい部位だということを初めて知った。
大学時代の友人から欠員が出たからと呼ばれた会だったが、誘ってくれてありがとうと心から叫びたい。初めましての人も同じ大学だったので、共通の話題も多くてありがたかった。いい人だったし、心の中で密かに盆栽先生と呼んでいる。初対面の際、互いの情報が錯綜してアンジャッシュのような勘違いを積み重ねてたのも面白かった。
美味しい肉の前に人類はみな無力。ひれ伏すしかない。美味い肉を仲のいい友人と囲んで焼くことでしか得られない幸せはある。深夜のカラオケでしか分泌されないホルモンもある。ありがたいなあ。東京で同じ学校の人と美味い肉を囲む未来なんて、少し前だったら想像できなかった。
中々予約が取れないらしいが、またどこかで行きたい。食べたことがない人に、この美味しい体験を味合わせたい。東京は人が多いけど、知らないだけでひっそりとした楽しみは無限にあるようだから、嬉しくて仕方ない。