夏さ、また。

日々のことを、だらだら書いてるだけです。

彼氏が推しに変わるまで

 

 お疲れ様です。有機栽培です。

 

 本当は履歴書を書かなきゃいけないけど、お風呂で小1時間彼氏について考えてみたら、よくわからなくなったので文章に残そうと思います。

 

 「人生で初めて彼氏ができた」「惚気てやろうじゃねぇか」「現実逃避の手段はあなた」で再三語ってきた彼氏の存在。東京出身転勤族、元カノだって沢山いる2個上のSNSをしない男。身長は私より高くて、衣食住にこだわりをもっている男。こっちに友達がいないから、毎週遊んでくれる人である。

 

 対する私は田舎で働く地方公務員。ショートヘアで身長が高い車持ち。毎週末彼氏の家に通っている。ジャニオタでアニオタで声優好き人生で初めて彼氏ができた女だ。

 

 彼氏と出会ったのはマッチングアプリ。彼氏は生活の味気無さを変えようと、私は転職活動がうまくいかず人生の変化を求めてアプリを入れた。互いにアプリで初めてあった人で、そのまま意気投合して付き合うことになった。

 

 付き合う時に私は告白してくれた彼にこう告げている。「人を好きになったことがない」「恋愛ということが分からない」と。それはあなたのことを好きになれるか分からないという言葉の裏返しで合った。追いかける恋より追われる恋の方が楽だろうという、妥協的なズルい考えがあった。それが2人の始まりである。

 

 付き合って5カ月が経過した。正直に言おう。彼氏が好きだ。仕事中も彼のことを考えて手を止めてしまうし、LINEの返信に一喜一憂する私がいる。喜ばれたらいいなって趣味じゃない品のいいパンプスも買ってしまった。可愛くみられたい私がいる。

 

 ところで、今までオタクだった私には、推しの系統と沼の法則が存在する。

 

 推しの系統というのは、大体こういうキャラやアイドルが好きになるよねっていう好みのタイプがあるのだ。私の二次元の初恋は銀魂土方十四郎だ。彼から全てが始まっており、黒髪で何かしらの役職についている面倒見のいい強い男が好きだった。そして眼鏡も好きだった。ハイキュー!!のクロ、ハガレンの大佐、黒執事のウィル、文ストの国木田、スタスカの不知火一樹、薄桜鬼の左之さん、サイコパス宜野座さん、テニプリの真田。

 

 三次元のアイドルだとV6の長野くんやジャニーズWESTの中間くん、SIXTONESの京本くんといったロイヤル顔に非常に弱かった。このように2次元も3次元も好みのタイプがはっきりしていたのだ。声優さんでの推しは中村悠一さんと安元洋貴さんと細谷佳正さんと前野智昭さん。4人とも低音に艶のある声の人だった。

 

 しかし、稀に推しの系統から外れた存在を好きになってしまう時がある。何かが引き金になって、好きなタイプでもないのに気になってしまい恋に落ちてしまうのだ。このことを私は沼の法則と呼んでいる。イレギュラーな恋愛は、沼のように足を絡み取ってくる。気が付いたら人生を揺すぶられるほど熱中してしまうのだ。それは革命のようだった。

 

 私が沼の法則に落ちたの経験は人生で4回ある。一つはヘタリアのアーサー・カークランドに出会った時。金髪ツンデレ元ヤンな彼は私の好みではない。でも私は好きになってしまった。高校時代の山川世界史Bの教科書は表紙が薄くなるほど読み、大学でも西洋史を専攻した。

 

 次に落ちたのは海外ドラマSHERLOCKのシャーロックとワトソン。今まで海外ドラマを一度も見たことなかった私は2人のブロマンスの関係に心を打たれ、稲妻が体中を駆け巡った。関係性萌えという性癖が生まれた瞬間である。そしてのちにロンドンで聖地巡りを行うことになる。 

 

 その次はアプリゲーム文豪とアルケミスト坂口安吾であった。たれ目でヤンキー風のお兄さんキャラは、私の母性にクリーンヒットした。大学生だったこともあり、周りに日本文学専攻の友人の知恵と図書館にある膨大な文学史の書籍を片手に、人生で初めて推しの小説を書いた。

 

 最後にジャニーズの丸山隆平。ロイヤル顔が好きだった私にとって、徐々に体を苦しませる毒のようにじわじわと好きなった彼は、人生で一番の沼だったかもしれない。大きくて切れ長な瞳に恋して、ベースを弾く指先に吐息が漏れた。少しでも視界に入りたくて、化粧をしてオシャレをした。彼に会って私は初めて、自分に与えられた女という性別を許せるようになった。

 

 4つの沼は私を劇的に変えてくれた。そして4つの沼には必ず好きになるときに起爆剤が存在した。今まで好きなタイプじゃなかったのに好きが蓄積して、爆発する。丸山さんを例にとると、気になって動画を見続けていたが、ある日Black of nightのMVで真剣な瞳で縋るように踊る彼に釘付けになった。その瞬間恋に落ちた。

 

 話を彼氏に戻そう。私は別に彼氏の顔がタイプではなかった。長野くんにも丸山さんにも似ていなかったからである。ただすごく優しくて、嫌いになるところが一つもなくて、一緒にいて楽しいから付き合いを続けていた。

 

 とあるカラオケに行く日、洗面所でいつもと違う整髪料を手に取っていたので気になっていると、彼が髪の毛を上げてセットしていた。普段は眼鏡で前髪を下ろしているので、可愛い感じの男の子だなーって思っていたのだが、目の前にいた彼は男性だった。

 

 男として彼を意識すると駄目だった。いつもの3倍格好いい。昨日まで一緒にいた人のはずなのに、急に恥ずかしくなってしまって顔が見れなくなってしまった。ギャップに弱いと思っていたが、これほどだとは思っていなかったので、自分自身にびっくり。

 

 背中に隠れていると、あちらも私の挙動不審に気づいたのか笑っている。その笑顔がだめで、弱ってしまうので、私は心情を薄情しながら顔を盗み見するしかなかった。

 

 その後カラオケでリクエストを聞かれたので、「ドリカムのやさしいキスをしてを歌ってほしい」とお願いした。彼の声は低いので、かすれた声で歌われる女性目線の歌詞に心がまた高鳴った。というか私が感情移入である。あなたが眠るまで優しいキスをされたい。絶対されたい。

 

 ふと顔を上げると、目を伏せながら歌う彼。髪型は朝のセットからちょっと崩れて、妙に色っぽい。いつもプルームテック片手に優しく微笑んでる姿とは違う。七分丈のワイシャツから覗く腕は男性のもので。私は自分が女性であることを再認識せざるを得なかった。

 

 そのあと福山雅治を歌われるともうだめだった。今日一日で私の中の好きが急激に変化している。今までだって好きだった。好きだったのに、今日さらに好きなっている。目を見てお話しできないし、手汗がじんわり滲む。今何されても私は適わない。お手上げである。

 

 数日後、お風呂で小1時間彼について考えてみた。きっと彼は彼氏から、推しに変化したのだろう。今までは初めて私の中にできた彼氏というカテゴリに入っていたのだが、徐々に私になじんできて、2次元3次元の推したちと肩を並べるようになったのだ。

 

 そして前回の前髪ドリカム事件が起爆剤になって、彼に沼の法則が合致してしまった。私は知っている。沼の法則にハマったら中々抜け出せないことを、好きが止まらなくなることを。彼との何気ない日常が、アリーナ花道最前列になってしまう。致死量の萌えで死んでしまう。

 

 彼氏が推しに変わった。いつか自担と肩を並べる日もくるのだろう。人を好きになれないと思ってた女は、初めて人を愛している。日に日に強くなる好きって感情があふれて零れてしまうから、少しでも彼に分かってほしくて、衝動的に好きだよってLINEしちゃうぐらいだ。

 

 私は彼氏が好きだ。好きすぎて困って不安になって、頭を抱えてる。まっとうな恋愛のスタートラインとは違うけど、推しとして彼に惚れた今、早く会いたくてたまらない。週末、また会おうね。

 

 彼氏が推しに変わった。何度でも私は惚れ直す。その度に好きが積み重なって、あなたに教えたくなっちゃうんだ。

 

 

 

 

 

 

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