夏さ、また。

日々のことを、だらだら書いてるだけです。

国立歴史民俗博物館

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 平日に有給をとって、国立歴史民俗博物館に行ってきた。通称「歴博」。大阪の万博公園にあるのは国立民族学博物館で「民博」。大阪の方が世界中の民族を中心に扱うのに対して、歴博は主に歴史と民俗を扱う。

 

 場所は千葉県佐倉市にある。去年田舎から上京してきた私は関東の地理に疎い。千葉県ということだから関東であろうし、東京から簡単に行けると思っていた。国の施設なのだから、目の前に駅があったりして。

 

 期待は直ぐに裏切られる。最寄り駅の京成佐倉駅まで上野から1時間。家から上野までも遠いし、特急に乗れないとさらに遠い。スカイツリーが見えたから、これを超えたらすぐだろうと思ったら、そこからかなりかかった。おしりが痛くなって、何回か立ち上がった。

 

  市街地や住宅地を抜けていくと、突然地元のような田園風景が広がる。因幡沼が見えたら、あと少しだ。京成佐倉駅からはバスに乗る。このアクセスの大変さが悪いのか、館内は殆ど人がおらずひっそりとしていた。

 

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 お昼に京成佐倉駅についたので、近くのハンバーガー屋で昼食。シンプルな味付けにも関わらず、きっかりと肉の味がして美味しかった。駅前にはあまり飲食店がないので、目星をつけて向かった方がいい。


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  バスからおりるとお堀のようなものが見えた。ここから上まで徒歩で上がっていく。国立歴史民俗博物館は昔のお城の跡に作られているので、必然的に山登りになる。佐倉市が城下町として発展し、古い町並みも残っており観光名所になっているらしい。残念ながら時間が無くて回れなかった。

 

  駅伝で目にする順天堂の前身、佐倉順天堂があったことから、蘭学や医学の街として江戸時代に栄えてきたとの事。観光にはJR佐倉駅から向かった方がいいらしい。

 

  国立歴史民俗博物館が佐倉にある理由も書かれていた。戦前から美術系の博物館はあれど、歴史系の博物館はないことが問題になっていた。いざ建設となった時、当時陸軍佐倉連隊があった場所に建てたらしい。昔の駐屯地、公的な何かに転用されがちあるある。

 

  研究施設としての側面が強いので、展示室以外の建物も立ち並び、観覧者よりも多いであろう車も停まっていた。

 

  13時頃に向かったのだが、多すぎる展示に圧倒され、とにかく時間との戦いになった。そのため写真がほとんど無い。もし、今度行こうかなと思っている方がいらっしゃったら、午前中に到着することをおすすめする。冬期は16時半までしかやっていないので、それも堪える。

 

  日本史の授業であっさりとしか触れられなかった考古学ゾーンから始まるのだが、ここがとても面白い。当時の人間の生活を再現した蝋人形のようなものがあるのだが、それをどうやって作ったかという映像が展示され、ついつい足を止めてしまう。毛皮の服も当時のような作り方で作ったり、道具を握る手の角度は、今の職人の腕を再現する。これだけでかなりの時間が熔けてしまう。困った。

 

   三内丸山遺跡の復元ジオラマもある。ジオラマが多いのが、歴博の楽しいところだ。物見櫓かと思っていた柱群が、建物の一部になっていた。当時の呪いや、人間の一生の展示。人の墓の近くに埋められていたイヌ。段々と歩みを進めると上手くなっていく木造建築。正倉院の役人の生活なんかも面白い。

 

  気づいたら2時間が経つ。時間配分を完璧間違えた。

 

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  猫ちゃん。ネズミ返しの再現もあった。穀物倉なやってくるネズミを食べるから、猫ちゃんとお米はセットなのかな。


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  こちらは中世の展示の目玉、東三条殿の復元である。今年の大河ドラマでお馴染み平安時代の覇者、藤原道長のお父さんである藤原兼家の大豪邸だ。庭に川レベルの水が流れている。地方では粗末なあばら家に住んでいる民衆が殆どだと思うのだが、時の権力者への財の一極集中が強い。

 

  ここから早足になっているので、途端にこのブログの記述も少なくなる。もっとじっくりと見たかった。


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  中世の武家の家の再現。周りがお堀で囲まれている。近くに神社や畑があり、生活と密接していたんだと思われる。半農の人も多かっただろうなあ。

 

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  近世なんじゃないかな。町屋の再現。ジオラマが多すぎて、すぐ足を止めてしまう。洛中洛外図屏風坤輿万国全図もあった。宗教的思想や、地理的な観点から作られた様々な地図を見比べる展示が面白かった。伊能忠敬の地図を見る度に、正確さに驚く。間宮林蔵といい、みんな足腰が強すぎる。


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    この写真かどうか忘れたが、日本橋の再現ジオラマもあった。今の日本橋のイメージは、首都高の下をくぐり抜けたら三越があったり映画館があるイメージで、野菜とかお米とか物流って感じはしない。

 

  昔の日本は世界の主要都市より下水が発達していたって、なにかの本で読んだ気がする。潤沢な水資源と、稲作への飽くなき探究心の賜物なのかもしれない。用水路大事。坂が多く水の勢いも強いから、汚れもなんでも海に流れるのもよなったのかな。


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  旅籠屋の再現。お伊勢参りの際に泊まる旅館だったような気がする。昔は、江戸時代に行くこと自体が幸福なことであり、人生で一度は行きたいところだったと教科書で見た気がする。

 

   伊勢神宮は確か皇族のゆかりがある天照大御神を祀っているが、江戸時代の頃の民衆は天皇制への意識があったのだろうか。明治維新以降、天皇制の強化によって教育とともに全国に普及したのは知っていたが、それ以前は全国まで広まっていたのだろうか。京都に近かったり大名なら教育レベルも高いから理解ができるのだけど、どうなんだろう。

 

御札が降ったり、ありがたいって噂はありそうだから、それだけで伊勢神宮に行きたいとは思うよね。


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  ほかのジオラマと違い、中に入ることができた。写真を撮り忘れていたが、最後にあった現代の展示では昭和の団地の再現もあった。復元の見所は現代のゾーンにある同潤会アパートや浅草の街並みの再現らしいが、ここら一帯はリニューアル工事中だった。残念!2026年に再開予定です。

 

  寺子屋というコーナーがあり、崩し文字の体験ができる場所があった。ボランティアのおじさん達から、面白い話が沢山聞けた。くずし字、大学生の頃挫折したなあ。あてがう漢字はどの種類でも良くて、音が優先されること。あまりにあてがう漢字の種類が多かったため、明治になってひらがなに統一されたこと。知らないことばかりだ。 

 

  民俗のコーナーが一番面白かったくせに、写真が何一つない。悔しい。それもこれも、朝寝坊して昼に行った私が悪いのだけど。輪島のお祭りの映像があって、面白そうだった。曳舟という文化が地元にないのだが、西の地方は大きな山車を引くお祭りが多い気がする。そして、海に近いほど荒々しく逞しい。昔見た、魚津のたてもん祭の映像を思い出した。

 

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 至る所にアイヌの展示もあった。日本が平安室町と時代が流れるように、北海道にも続縄文時代や擦文文化といった時代の区切りがあることを知らなかった。人が生活するというのは、進歩していくということ。己の狭い視野を恥じた。

 

  アイヌの服の文様が好きだ。藍色のパキッとした色も好きだ。アイヌ文化や沖縄の文化の他に、離島や山村にも色んな文化がある。確かお葬式の展示もあったし、正月の展示もあった。生活を維持するための信仰があるのが、ささやかな幸せを祈るようで好きだ。気仙沼の漁師一家の家の仏間が再現されていた。

 

  商品のレプリカも多く展示されていた。昔の雑誌や化粧品コーナーで私ははしゃぎ、百貨店や料亭のおせちが壁一面に並んでいるのを見て、いつか食べたいなと想像した。お土産類や一般的な子ども部屋も展示されている。恋愛ハウトゥー本からゼクシィまで。同い年の友人と行っても楽しいが、親とかとまわったら会話が尽きないんじゃないかな。

 

  佐倉連隊があったところなので、戦時中の展示も充実していた。出征の旗や、闇市の復元もあった。うどんが3本しかない屋台があって、当時のひもじさが感じられる。

 


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  昭和の家。映画のセットということで、画面外には撮影カメラや椅子があった。私の親が生まれた頃は、この時代に近いのだと思う。昔の映画は名前は聞いたことがあるが、白黒なのも多くて見たことがない。黒澤明小津安二郎市川崑とか、名前は知ってるがどんなものを撮っているかは分からない。ゴジラの大きなフィギュアがあって、知ってるものを見つけて安心した。

 

  最後の方はもはや駆け足だったと思う。気がつけば閉館時間て、16時32分のバスに滑り込むように乗った。あまりの情報量に圧倒され、あまり細かく覚えられなかったのが残念だ。何度も書いているが、もし行かれる時は時間にゆとりを持って向かって欲しい。



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  疲れた脳みそを酒に漬けないといけない。夜は焼肉を食べて英気を養うことにした。燃え盛っているが、とても美味しかった。