夏さ、また。

日々のことを、だらだら書いてるだけです。

東京を諦める旅

 仕事が嫌で、行き詰まって、人生がどうしようもなくなったので、有給をとって東京に行ってきました。見たかった丁度博物館の展示が終わろうとしていたし、ボーナスも出たからと言い訳を作って。本当は出版社の面接と、ここ1ヶ月住みたいと言い続けてきた東京へ下見に出かけたのです。

 

有給申請を渋られながらも会得したのは出発の2日前。そこから友人に連絡して泊めて欲しいと頼み込み、新幹線を予約しました。己の行動力が素晴らしい。

 

でも結果として、私は東京を諦めた。精神科で貰ってる薬を忘れたからかもしれないが、日に日に鬱屈した気分になり、将来の不安が頭から離れなくなってしまい、この街で暮らしている自分がイメージできなかった。この街で寂しくて、死にたくなってる自分しか思いつかなかったのだ。

 

人生はどうしようもなく地続きで、ちょっと行動したからって劇的に状況が変わるわけがない。私が陥った日々の辛さは私の問題で、東京に来たからと解決することはない。それを痛感した3日間でした。

 

 

1日目

 

「博物館のために東京に行くなんて贅沢ね」という親の言葉を聞かないふりをして、早朝の新幹線に乗り込んだ。待ちに待った休みなのだから、気分は高揚していた。だってこの旅で東京への憧れが確信に変わったら、私は本格的に転職活動をしようと思っていたから。

 

カルチャーの中心地、アイドルがひしめく理想郷。東京に何年も勤めている従姉妹に仕事を辞めたいと相談したら「東京はいいよ、自由だから」とおすすめされた。同職の叔父さんは「お前は東京に行くもんだと思っていた。田舎は似合わない」と太鼓判を押した。田舎で生きづらさを感じている私が、きっと適応できる場所トーキョー。ワクワクが止まらなかった。

 

朝からビールなんか飲んじゃって、うきうきで向かう。夕方から友人と会うため、それまで上野で時間を潰すことにした。

 

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まずは国立西洋美術館へ。お目当てはハプスブルク展。昨年からチラシを見かけるほど力の入った展覧会だ。


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入口から凄い。私は卒業論文オーストリア史を扱っていたので、執筆時に来年絶対国立西洋美術館の展覧会行くからな……って思っていた。念願の展覧会だったのだ。

 

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現場で思わずとったメモで失礼する。本当によかった!!!ハプスブルクの歴史に焦点を当てた内容は新鮮!!そして!!フランツ・ヨーゼフ一世の肖像画が最後に出てくるところでは、膝から崩れ落ちそうになった。

 

歴代の王家の肖像画は色鮮やかで、豪華な服を身にまとっている。対して、最後の皇帝であり、ハプスブルクの黄昏を担った彼は暗い部屋の中で着古した軍服を着ていた。それだけで、この国の終わりが予感できるだろう。対するエリザベートは絢爛で鮮やかな色彩の肖像画。この時代においても、彼女の美貌は塞ぎ込んだ社会の中で一際輝いていたのだろう。

 

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上野公園にあったスープの屋台。


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クラムチャウダー。美味しかった。

 

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次に最終日前日のコートールド美術館店のために東京都美術館へ。これもまたすごい人!人!人!!印象派の絵画が好きな人にはたまらない展覧会であった。好きすぎて結果的に画集を買いました。しょうがないんだ……!!とにかく良かった。

 

コートールド美術館が改修工事中だから持ってこれたんだろうな……絶対日本じゃ見れないだろ……って呆然と思うほどのコレクション。是非。ポスターにもなっているマネの晩年の傑作以外も盛りだくさんだった。ただ、残念ながらもう終わっている。


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見かけた警視庁のキャラクター。お菓子をくばっていた。

 

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時間に余裕があったので1人で国立科学館へ。これがいけなかった。家族連れとカップルしかいないのだ。星野源が恋で「この世にいる誰も 二人から」と歌っているように、この世の最小単位は2なんじゃないかと錯覚する。

 

猛烈に襲ってくる寂しさに飲まれそうになった。私は展覧会を見て感想を言い合える相手はいない。実家に住めば親がいる。東京に来たら、1人だ。どんどんと考えが鬱になってきてしまう。そして明確にわかってしまった。私は、東京に住めない。

 

住むことに耐えられない。孤独のまま、不安なまま、自分を持っていない人が住んだら壊れてしまう。実家にいる今ですら寂しいのに、1人になったらどうなってしまうのだろう。全員が他人で、全員が敵。私がきっとここで倒れても、誰も気づかないだろう。そんなことを、太鼓の昔の生き物たちの骨を眺めながら考えていた。みんな2人なのに、私は1人。その現実は、東京に来たらさらに悪化する。私は恋人がいたことがないし、これからもできる予定がない。でも1人は耐えられない。

 

お母さんに会いたかった。 仕事も辛いのに、次は寂しさなんてどうすることも出来ない。心がばらばらになってしまう予感しかなかった。

 

半日いた東京は日常の延長戦だった。私の人生と地続きの場所だった。急速に憧れが消えていく。ネバーランドだと勘違いしていたみたい。沢山の人が怒ってて、笑ってて、不幸で幸せ。人生のるつぼで、交差点だった。来たところで幸せにはなれない街トーキョー。私が憧れていた街。

 


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陰鬱な気分で食べたソフトクリーム。甘さも分かち合う相手はいない。

 

 

 

 

 

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友人と合流して秋葉原にある飲み屋へ。永遠に自分の人生を愚痴っていた気がする。

 

この旅行でわかったことの一つに、私は日々の記憶がほとんどないということの、日常会話が下手くそになっていたことだ。昔は湯水のように話したいことが湧いてでたのに、何を話したらいいのかわからないという人生初の感覚に見舞われた。鬱病の症状なんだろうか。

 


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お酒が美味しい。お酒の紹介が丁寧で好きなお店でした。

 


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浅草のロック座へ移動。人生初のストリップへ!!すごい世界で、常連さんたちが拍手のタイミングや振り付けを完璧にしててびっくりした。女体は美しい。ロココみたいな演出もあったんだけど、何より女学生の百合みたいなショーがありまして!!これが非常によかった!!

 

お酒は持ち込み可能なので行ってみてください!私はまた行きます。


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入口は花でいっぱい。俗的なものではなく、美しいものを見るショーでした。圧倒的な美。体のラインと美しさが光る。そして痩せたくなる。ダイエットしよ……。

 


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そして酒。焼酎飲んで酔っ払った。あん肝が美味しかったんだ……。結果的に友人の家で寝ゲロしてしまった。朝起きたら枕元が濡れてるのは軽くホラーでした。正面を向きながら吐いたらしくて、一歩間違えたら窒息死。友人は笑って許してくれたけど、絶高ものだよ。本当にありがとう……そして酔うほど人生に病んでる私は酒を飲むな。

 

 

 

 

 

 

2日目

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朝の浅草。スカイツリーが正面に見える。コッペパン専門店でハムカツサンドを買うも、昨日の酒が残った体調不良で半分しか食べれないという失態を起こす。ついでに睡眠不足でもある。馬鹿である。

 

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そのままカラオケへ。まねきねこの朝うたは安くていいね!!写真は私が歌った曲。大阪loverを入れた瞬間、自担丸山隆平くんの主演ドラマがWOWWOWで決まるも、家はWOWWOWに入ってないため血の涙を流す。

 

大阪loverは関ジャムで渋谷すばるくんが歌ってから大好きな曲。関ジャニ∞と遠距離恋愛してて、新大阪駅で待ち合わせしている妄想に最適である。情緒不安定で歌い上げた。

 

最近の歌って、弱さかつらさを歌う曲が多いよね。そのせいか、歌詞に影響を受けてまた落ち込んでしまう。明るい歌を歌ったらギャップで心が苦しくなるんだけどね。でも、暗い曲が増えたなぁって思いながら、King Gnuの白日の歌詞を眺めてた。

 

ここで友人とはおさらばした。そして上野駅で高校の同級生で、北関東に住む友人と合流。速攻で体調不良を謝罪した。

 

ゴッホ展へ行く。さっきから博物館が混んでた話しかしなくて恐縮なんだが、ゴッホ展はさらに混んでいた。もう今までの比ではない。入場規制から始まるなんて、国立新美術館のダリ展や京都国立博物館の国宝展以来である。日本人ゴッホ大好きかよ……生きてる時に評価されない人間大好きかよ……と悪態をついていた。

 

結論から言うとゴッホ展最高。ゴッホが絵を描き始めてから、誰に影響を受けてどのように画風を変えていったのか分かりやすく展示されていた。壁には弟テオへの手紙の引用が書かれていて、エモい。ゴッホは人間を絶賛してから、必ず絶交するしどうしようもないけど好きだよ……!!ってなる。

 

最後のコーナーで私たちのよく知る画風に変わったところでは、彼の終わりを予感しながらも頂点に到達した努力を拍手したくなる。命を削った画家、ゴッホ。みんな大好きになる魅力ある画風と人生は、何年経っても人を魅力し続ける。

 

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買ったものたち。全てがお気に入りだ!

 

新宿へ移動してロッカーを探すも見つからず。結果一日キャリーバッグを引き連れることになってしまった。ルミネストで友人の買い物に付き合った。そして飲み屋が見つからなくてぐるぐると新宿の夜を歩き回る。

 

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始めてきた歌舞伎町。友人が赤提灯の居酒屋に行きたいと言うが、歌舞伎町で探すのはウォーリーを探すより難しかった。何とか海鮮系の居酒屋にたどり着いたら、駅の方まで戻っていた。

 

胃がムカムカして疲れていたので、揚げ物も食べないし酒も飲まないという超絶付き合いの悪いやつをしてしまった。申し訳ない。そして口から出るのは東京には住めない、でも仕事は辞めたいという弱音ばかり。申し訳ないの3乗ぐらいの勢いで謝りたい。


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名前だけは聞いたことのあるゴールデン街を歩いた。小さな店がひしめいて日曜日でも看板の灯りがちらほら。外国人のお客さんが多くて、街も変化していってるんだなってぼんやり思う。

 

あと歩いてる途中にこれから出勤するホストとすれ違ったり、同伴の人とすれ違ったりと楽しかった。私は友人たちから「優しくされたら惚れるチョロいやつは言ったら死ぬ」「つまり有機栽培は絶対に行かない方がいい」「貢ぐだろ?すぐに。やめとけ」という言葉を頂いている。

 

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歌舞伎町の入口近くにあるイタリアンで食べた鴨の生ハムが超絶美味しかった。胃が疲れてても食べたくなる美味さ。ここでおでんを食べたい有人に対しておでんが嫌いと言ってしまって機嫌を損なう。

 

あと彼氏持ちの友人が酔えば酔うほどあざといリアクションをするので、「そんなことされても彼氏の代わりはできない」と言ったら「それは求めてない」と言われた。あざとい反応された時の対応は、困る。色んな彼氏持ちの友人がいるが、大半の人は酒飲むとあざとくなるので、これが彼女達の日常なのかと、これまたぼんやりと思っていた。少し、寂しくなった。

 

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友人とラブホに泊まる。女同士なのに通常料金で泊まれるのは嬉しい限り。おすすめしてくれた友人曰く「アメニティがコンタクトケースまであるし、ヘアアイロンとかもあるから手ぶらの東京観光では最強」とのこと。

 

受付で「失礼ですが女性二人でしょうか?」と聞かれたことに対して、友人は「何が失礼なんだ」と怒っていた。私は逆に配慮があっていいなと思った。アメニティ多めにくれたし、私の心が男性でカップルだったら、失礼ですがの枕詞は思いやりだろう。

 

そうそう!年齢イコール彼氏いない歴の私は、初ラブホでした。部屋に入って最初にしたことは、ベットのきしみ具合の確認。次に間接照明のチェック。お風呂のライトもかかさずに。枕元にコンドームがあったので、口で銜えて空けれるかな?チャレンジなど。童貞か。

 

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高校二年生の頃以来、久しぶりに足に履いたぜコンドーム。当時は治安の悪い高校に行った友人がドヤ顔で財布から出したゴムを、夜の公園のベンチで面白半分で足に履いてたら巡回の地域の方がいらっしゃって慌ててゴム履いたままクロックスに足を通した思い出。そのあと大人に夜遅くに何やってるんだって聞かれて、答えに困った。馬鹿である。

 

友人との共通の趣味がKing Gnuの井口さん面白いだったので、King Gnuを聞きながらうだうだして就寝。友人がシャワー浴びてる時に待ってるのが、ちょっとエロくて良かった。童貞かよ。

 

 

 

3日目

 

朝6時に1度起きる。7時、8時と目が覚めて、起床。最近はどんなに寝不足で疲れていても、6時間寝ると目が覚めてしまう。本当は10時間とか寝ていたいのに。そのせいか全く疲れが取れない。調べたら早朝覚醒といううつ病の症状らしい。

 

とにかく憂鬱な朝だった。何故なら編集職の面接があるからだ。この2日間で私は東京なぞ諦めていて、住むには無理だと痛いほどわかっていた。でもドタキャンはマナー違反。ずっと友人に嘆きながら、胃もたれを抱え履歴書を書いた。ラブホで履歴書書くやつもいないわ。

 

履歴書に並ぶ普通という言葉。高校の普通科を卒業して、普通自動車免許を持ってるもいうのに、普通になれない私は履歴書詐称なんじゃないかと自嘲気味に笑った。普通の幸せが手に入らない、普通の人ができることが妥協出来ない、普通のことが出来ない。履歴書は私を普通だと証明するけど、私は普通と程遠い。なり損ないの欠陥品だ。

 

 

 

 

早朝なのに歌舞伎町は元気だった。24時間営業歌舞伎町。友人のご飯の誘いを断わり、中央線に乗り込む。リクルートスーツ、キャリーバッグ、中央線、総武線のロッカー。変わったのは夜行バスが新幹線になったこと。それだけ。成長も何も無い。

 

面接まで体力もないし、時間もあったので神保町の本屋をフラフラしたけどモチベーションが上がらない。結果的にドトールでブログを書いていた。企業研究や編集職についてもっと調べるべきだとわかっているけど、とにかく家に帰りたかった。屍のようだ体と心は、限界に近かった。

 

志望動機がスラスラ言えない。手汗が止まらない。何がしたいのか分からない。憂鬱がぬぐえない。お腹が痛い。東京は住みにくそうで、私はきっと孤独に苛まれる。明日の仕事が嫌だ。帰りの新幹線に間に合うか分からない。こんな状況で面接は、辛いよ。辛い。

 

そして案の定面接はボロボロでした。途中から、私と話してて貰って申し訳ないなって気持ちでいっぱいだった。話も全く弾まない。新卒の就活期はあんなにハキハキ話して、明るくて元気だねって言われたのに。約1年の新社会人生活は、自信を失うのに充分な時間だったんだ思う。なんだか泣きたくなってしまった。

 

会社をあとにして、何も考えたくなくて九段下までヒールで走る。父親に迎えの車を電話で頼む。目の前をけたたましい音を立てながら消防車が走りゆく。東西線に乗り込んで、総武線のロッカーから荷物を取り出して、揚げたての矢場とんを地下で購入して、新幹線に乗り込んでエビスの蓋を開けるまで、ずっと眉間にシワが寄っていた。

 

悔しい。自分が自分じゃないのが悔しい。チャンスを物にできない自分の愚かさが腹立たしい。東京に適応できないと悟ってしまった、自分の気づきが確信に変わったことが虚しい。ここ1ヶ月、転職のことばかり考えて、心の拠り所にしてきた。これから、何を目指せばいいのだろう。

 

私は公務員を辞めたいばかりに、どうせ受からない編集や、行かない東京へ夢を見たんだと思う。スケールの広い金のかかった、無意味な現実逃避。馬鹿みたいだ。実際、馬鹿である。

 

面接受けてて、私ってそんなに本好きじゃないんだなって思った。考えも浅いし、アイデアも平凡だ。面接官の編集の人たちみたいに思考力がないし、アンテナだって乏しい。今が嫌だから本が好きだと思い込んで、アイデアマンだと信じて、東京なら活躍できると妄想しただけだった。愚か。悔しい。

 

挫折した3日間でした。東京に挫折したし、編集職にも挫折した。明日からどうやって生きていこう。何を目指せばい良いのだろう。明日の仕事はどうすればいいんだろう。心の病はいつ治るのだろう。学生時代の溌剌とした私はどこへ行ったんだろう。何もしたくない。寝てたい。終わりたい。

 

東京は夢を見せてくれる街だ。でも、実際は自己責任の街だ。人生も自己責任。私は、自分の人生の責任を負えるほど、強くなかった。1人で生きていけるほど、強くなかった。不安な未来を哀れんで、今を生きることが出来ない人間だった。弱い人間は、狭い空と夢が詰まった街で生きてはいけませんでした。

 

今、私は挫折を感じながら、呆然と新幹線でこのブログを打っている。家に帰ったら、倍量の薬を飲んで明日に脅えて布団の中で泣くのだろう。

 

この1ヶ月。色んな会社の求人にすがりついて、バリバリと働く自分を妄想して、この田舎から抜け出すことを夢見た。その1ヶ月は、ただの現実逃避だった。無意味だったのだ。そして、夢を見れないのに、どうやったら発狂せずに暮らしていけるんだろう。不安だ。どうしようもなく明日が見えない。

 

分かったことは、この旅は東京を諦める旅だったということだ。私は、息すら出来ませんでした。そして今も、不安で窒息しそうだ。どこだったら、上手く息が吸えるのだろう。大きな課題を抱えたまま、陰鬱な気持ちをアルコールで流し込んで、私は新幹線に揺られて帰路につく。

 

東京に、生まれたかった。あの土地に生きる強さが、欲しかった。健全な精神が、欲しかった。

 

母親に言われた「あなたは何にもなりたくないんでしょ」という言葉が、脳内にこだまする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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揚げたてだった矢場とん