夏さ、また。

日々のことを、だらだら書いてるだけです。

心もとないね

お疲れ様です。有機栽培です。

 

今私は、本屋で買った「違国日記」を読んでる。今年1番読み返した漫画だ。自尊心やエゴなど結構心にザクザク刺さる内容なんだけど、誰も表面化しなかった内面の問題を取り上げたこの漫画が、世の中に好かれているということは、みんな思っていたことなんだろうなと安心する。

 

安心感。安心感が欲しい。あなたは間違っていないよと、立証してくれる存在を、心の底から求めている。

 

公務員になったのも、「きっとこれが世間一般の幸せに最も近い」だったからだ。世間一般の給与と福利厚生、みんながなりたい職業、クビにならない安定感。

 

公務員を辞めたいと思う。理由は鬱病になったから。でも私はすごく恐ろしい。「安定を捨てて良いのか」という世間の声に逆らう行為が、世界も親も友人も全てを裏切るようで、恐ろしい。相談するとみんな口を揃えて同じことを言う。「なんで辞めたいの?」そして話を続けると最後はこの言葉で締めくくられる。「でも、今辛いなら辞めるべきだよ」。

 

いつも無責任な言葉で終わる。他人の人生だから当たり前だ。そんな時にぼんやりと思う。これが昔だったら、相談せずにやめれたんだろうな。未来に希望が持てた時代なら、転職が簡単な時代なら早々に決断できるだろう。なぜ私はこれほどまで、安心を手放すのが恐ろしいのだろう。年金すら貰えない未来で、一人っきりで生きてるのが怖い。

 

私が生まれてから22年。一度も景気が良いことなんて無かった。テレビには他国の戦争と紛争が流れて、おじさん達は「昔はね」と必ず前置きをしてから、夢のような失われた日々を語る。今の自分の話は、してくれない。

 

私たちはずっと批判され続けた。「最近の若い者は」と必ず前置きをしてから、褒められることは無かった。ゆとり世代と言われ、ゲームが友達と笑われ、好きな飲み物を嘲笑された。メイクを馬鹿にされ、ファッションを嫌われ、言葉だって踏みにじられる。

 

気づいたら大人になっていた。社会人一年目。右も左も分からない。どうやったら幸せになれるのだろう。大人に聞くと、彼らはまた同じように複雑な笑いを浮かべて語る。「昔は大変だったんだよ」「君たちの給与は高くて、羨ましい」「苦労すべきだよ」。

 

清貧という呪い。若者は苦労すべきだという呪い。彼らは苦労したのだろう。苦労した先に、成功が待っていたからだ。今私たちが苦労して、成功はやってくるのだろうか。そんな人見たことない。だって景気が良くないから。将来が不透明すぎる。

 

きっと昔という世界は、根拠の無い自信をみんなが持つことができる時代だったんだと思う。根拠はないけど、やってみれば成功するかも。失敗しても、どうにかなるさ。そんなエネルギーに満ち溢れた時代だったんだろう。東海道新幹線ができた六日後に、オリンピックが出来ちゃう世界だ。この時代には、莫大なエネルギーとお祭り騒ぎがあったのだ。

 

視点を今に戻す。私たちの今の一体どこに、エネルギーがあるのだろう。私たちは現実を見たくない。見たくないから、私たちの文化を作る。好きな服来て、好きな飲み物を飲んで、好きな言葉で暗号のようなお話をする。

 

私たちの文化は、現実逃避の文化だ。現実と文化が乖離している。現実に生きてる大人は、それを指さして笑うのだ。あっちが正しいのだろう。でも、私たちは6畳しかない汚い部屋でYouTubeを見続ける。自分よりキラキラしてる人達の光に夢を見る。

 

新社会人は現実逃避の文化で育った私たちが、現実に帰るタイミングだ。だから渇望する。「将来絶対幸せになれる切符」か欲しくてたまらない。不確定で不安定で不透明なこれからの人生を、ゼロカロリーで生きていかねばならないからだ。

 

もう、仮想現実に夢なんて見れないと冷静に分かっているから。せめて現実逃避先と同じような夢を、こっちの世界でも見させて欲しい。苦労をするから、幸せなる確証が欲しい。成功談を聞かせて欲しい。同じことをするからさ。頼むよ。夢から覚めたら、寒くてたまらないんだ。あまりにも人生が心もとない。フラフラするし、誰もいない。いるのは社会と常識と一般論という敵だらけ。

 

今の私にある将来への閉塞感。この憂鬱はいつ晴れるのだろう。「明るい未来に期待大」なんて心持ちでいられるのは、歌詞の中だけだ。

 

安心感が欲しい。あなたの判断は間違っていないよって強い言葉で抱きしめて欲しい。どうしようもない孤独に打ちひしがれながら、今日も生きている。明るくない未来は、私たちを根拠の無い自信で包み込んではくれないのだ。

 

夢見る時代は終わったの。夢すら見れなくなってしまったの。夢から覚めたら、そこは砂漠だっただけ。そこが南極だっただけ。マッチ売りの少女のように、若者は死んでいく。